Before you think of quitting
“ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書 687)” を出版した梅田氏の “やめることを先に考えよう” という提案を初めて目にしたのは彼自身のブログ上でのことだった。この時は “ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)
” を読んだ後ということも手伝ったのか、良いことを言うものだとそれなりに素直に受け入れ納得していたのだが、その後、この意見には若干の注意が必要であることが分かった。
- 事象の体験度には往路と復路がある
「はじめること」と「やめること」は、事象の体験を「道」に例えるなら往路と復路に例えることができる。やめることについて、自分がその道の往路にいるのか復路にいるのかを理解しておく必要がある。 - “やめること” と “スルー力” は定義が違う
個人的には当初この2つは復路という意味で同じだと捉えていたのだが、彼の “スルー力” に対する見解ではそれらを同一視していないことが分かった。そこで洞察を繰り返してみた結果、”スルー力” とは事象の空性を捉えた絶対的真理、対して “やめること” は相対的な真理なのだろう考えることが最も自然であった。 - そもそも始点と終点に執着する必要はない
洋の東西で異なる創造主観の有無を差し引いて考えたとしても、あらゆる体験はお互いに作用しており、その作用を理解し応用できることが現代の知的労働者に多く求められる能力であるということから、特定の事象の始まりや終わりに固執することは有益ではない。
このように、一見否定的に感じる “やめること” という言葉を “戻ること” や “下ること” と捉えたり、”情報を出力すること” あるいは “生産すること”、”表現すること” と置き換えるのなら、その道には始まりも終わりもないことに気付く。
もちろん、この “やめることを先に考える” というのは肯定的な行為として紹介されていると理解しているつもりだが、この言葉が断片化され一人歩きした場合に未熟な意識が否定的な行為を生み誤解される可能性があることは考慮しておく必要がある。
とは言え、時代(特に現在)の熱い部分を切り取りつつ的確に描写してあるような書籍は冷めないうちに読んでおく価値がある。TIA my friends!
個人事業主のウェブとiOSアプリ開発者で一児の父親。JavaScript, ActionScript, AppleScript, PHP, SQL, ObjCの読書実行試験運用管理を生業とし、BIND, SMTP, APACHE を FreeBSD, MacBSD, Mac OS X で使い、エディタは Vi, mi, Kod と遷移して現在は Smultron、そして Coda と Xcode の IDE を重用しています。作業の自動化や効率化の導入を応援しています。
P.S. 制作履歴はLinkedInの公開プロフィールをご覧ください。