「オムニチャネル小売と店舗の未来」和訳

知人が通うセミナーで使われているというオンライン小売業者のレポート PDF (2017年版)の、実際の店舗例について書かれている部分を現地視察前に翻訳してほしいという依頼があり、内容がなかなか面白かったので出版元の会社に FB メッセンジャーで公開する旨の断りを入れつつ記しておきます。

http://hkitago.tumblr.com/post/171513964811

P.25 崩壊前のオフライン小売業者
崩壊の危険があるビジネスの分野があるとしたら、それはオフラインの小売業者だろう。そして、その崩壊を後押ししようとしているのはオンライン販売だけで小売を始めて実店舗を構えようとする小売業者なのである。

いくつかのオンライン小売業者は、販売全体のおよそ10パーセントでオフラインで起きている90パーセントの試みを決定していた。彼らが長期に渡る成功を収めるかどうかは不明だが、一つ確かなのは業界を揺さぶるかもしれないようなやり方で従来型小売店体験を新たに想像しているという事だ。

「実店舗の空間はおよそ200年の間、変化がありません。」とフォレスター・リサーチ社のブレンダン・ヴィッチャー氏は述べる。「店の中を歩き、何かを棚から手に取り、レジに行き、支払いを済ませて店の外に出る。このサービスは私達の曽祖父母の世代から続くもので、現代のデジタル知識のある消費者には通用しません。」

オフライン小売業者の崩壊の始まりを目にしている最も有名なオンライン小売業者はアマゾンだ。皮肉なことに、従来の書店を殺した張本人は今やシアトル、サンディエゴ、シカゴ、ポートランド、そしてマサチューセッツ州の町、デダムとリンフィールドに書店をオープンした。

アマゾンはこの実店舗にオンラインでよく知られている機能を統合した。例えば、オンラインで星4.8以上のタイトルを集める「高評価」の陳列や、アマゾンを一躍有名にしたマーケティング技術である「この商品を買った人はこんな商品も買っています」を手本とした「こちらもいかが」という棚がある。

そしてアマゾンはこの書店が自社のキンドル端末やスマートスピーカーの販促を後押しすると考えている。

「消費者が私たちの端末を見て触って使いファンになる、実書店がその機会を作る良い場所だと私たちは考えています。」とアマゾンの最高財務責任者ブライアン・オルザブスキー氏は述べた。

またアマゾンは、アマゾンGOや現在は従業員のみが利用できるコンビニ、日用品配達サービスのアマゾン・フレッシュ、そしてフレッシュ会員が15分で実店舗で商品を受け取ることが可能なアマゾン・フレッシュ・ピックアップといったサービスを含む他の小売形態を試みている。

いくつかのアマゾンのオフライン小売は、そのデジタル価値を高めたプライムサービスを熱望しており、より大きなものになることは容易に想像ができる。

「アマゾンについて一つ覚えておきたいのは、常に消費者のことを念頭に置いているということです。」とヴィッチャー氏は述べる。「彼らは付加価値サービスを貫き、カスタマー・ロイヤルティへの鍵を見つけたのです。そして、その付加価値サービスモデルを小売モデルに適用することで、組織は彼らが実店舗をどのように考えていたのかについて再考することになったのです。」

しかしながら、アマゾンの実店舗支配は終わった話ではない。従業員管理、万引き、保険、接客、商業不動産など、オフライン小売固有の問題の取り扱いについて学ぶ必要があるだろう。

「多くの同業他社のように彼らも同じ多くの課題に取り組む必要があります。」とヴィッチャー氏は述べる。「そのことはさほど単純ではありませんが、彼らは異なった考えをしているはずです。そしてその考えが前進への大きなアイディアとなるでしょう」

P.27 ブルー・ナイル
オフライン店舗を目指すオンライン小売業者はアマゾンだけではない。同様に飛躍しようとしている小さなブランドがいくつかあり、そしてアマゾンのように彼らはデジタル体験を実店舗に拡大しようとしている。

ダイヤモンドジュエリーを扱うブルー・ナイルは1999年からオンライン販売を手掛け、2013年に全米でも有数の大型百貨店チェーンであるノードストロームの2つのブライダルショップでオフライン販売を始めた。

「私たちがノードストロームで始めた時は縦60センチ、横1.8メートルのショーケースから一年で100万ドルを優に超える金額を売上ました。ノードストロームでの二店舗目はそれ以上でした。」とブルー・ナイルのCEOハーヴィー・カンター氏は述べる。

それをきっかけにブルー・ナイルは “Webrooms(ウェブルーム)” と呼ばれる自社店舗をオープンした。最高級のショッピングモールの中の小さな販売場所では模造ダイヤのジュエリーを見ながら不特定の販売員と相談することが可能だ。

「ただ何かを売るだけではなく、実際の体験を作りたかったのです。」とカンター氏は言う。「ノードストロームでは単に婚約指輪を販売していましたが、Webrooms では体験を作っています。」

ブルー・ナイルはニューヨークに2店舗、ポートランド、シアトル、バージニア州のタイソンズ・コーナーに各1店舗、合計5店舗を展開している。

ブルー・ナイルのオフライン店舗は清潔で光沢感があり、デジタルの起源に沿っている。例えば従来ある会計のレジやカウンターがない。と言うのも実店舗には持って帰るための在庫を置いていないからだ。実店舗に訪れても自分のデジタル端末か、ブルー・ナイルに備えてあるノートパソコンでウェブブラウザを使って購入することになる。

「私はこれを三次元オンライン体験と表現します。」とカンター氏は言う。「と言うのも文字通り、自宅のソファでやるようなものだからです。」

このモデルによってブルー・ナイルは、いつものように BlueNile.com のオンラインショップサイトで得られる全てのデータに加え、いくつかの新しいデータを得ることができる。

「電話、タブレット、PCといったあらゆるデバイスを使った操作体験の豊富なデータを全て捉えています。」とカンター氏は言う。「顧客がどこに行くのか、どのくらいの頻度で来るのか、何を見ているか、ページ滞在時間はどのくらいか、コンバージョン率とか、加えて新規顧客のデータ、どのくらい遠くから来ているかとか、どのくらいの認知度なのか。」

またブルー・ナイルは地理的要因で購入パターンが異なることを見つけ、それに沿った取り揃えを各店舗で行っている。

「例えばニューヨークではバージニアやワシントン、オレゴンに比べて有名デザイナーの需要が大きくあります。」とカンター氏は言う。「ニューヨークやマンハッタンの人は、隠してあるデザイナーリングを購入する傾向が非常に強いです。」

ブルー・ナイルの店舗は、平均でグロス面積が46平方メートル、ネット面積が28平方メートルと伝統的なジュエリー店に比べてかなり小さい。(グロスは全体の、ネットは実際に使うことができる場所の面積)

「私たちの店舗は伝統的なジュエリー店の15パーセントほどの大きさだと思います。」とカンター氏は言う。「Webroom には通常2名とマネージャー1名の合計3人の従業員体制を取っています。伝統的なジュエリー店では6〜8名、あるいは10名かもしれません。」

カンター氏によると、各ブルー・ナイル店舗の従業員は一年平均で1.5億円を売上る。

「1店舗につき(1シフト)平均3名配置、総じて5〜6名の従業員として、年間で多くて7億円と言う計算になります。そこでグロス面積が46平方メートルから7億円と考えてみると、その生産性は驚くべきもので、伝統的なジュエリー店より果てしなく高いものです。」

P.28 モドクロス
最近実店舗を設立したもう一つのオンライン小売店は、ビンテージにヒントを得たアパレルのモドクロスだが、そこにもまた従来の店舗を連想する物理的な特徴を見ることができない。

「私たちは敢えてストアと呼びません」と、衣類メーカーのアーバンアウトフィッターズで最高戦略責任者を務めた後2015年1月にモドクロスへ参加したCEOマシュー・カネス氏は言う。「私たちはそれを”フィットショップ”と呼んでいます。単に外からの視点ではなく内部からのものです。」

数少ないオンラインだけの小売を展開していたモドクロスはこの一年にウォルマートに買収され、現在はテキサス州オースティンで一つのフィットショップを運営している。それ以前、2015年の夏から2016年末までにモドクロスはロス、サンフランシスコ、デンバー、ポートランド、ワシントン、ピッツバーグ、そしてオースティンの7箇所にポップアップストアがあった。

IRL、あるいは “In Real Life ツアー” と呼ばれていたポップアップストアのアイディアは、オンラインよりも多くのフィードバック得るために直接モドクロスのデザイナーやバイヤーが顧客と交流していた。噂によるとロスのポップアップストアは一区画分の行列ができていたそうだ。

「顧客がフィットショップで予約を取ると、彼女たちは平均で80〜90パーセントの時間を使います。」とカネス氏は言う。「そして、IRL ツアーやオースティンのフィットショップでの体験でオンラインのオーダーの倍の量になります。」

「私たちにとって、マルチチャンネルを利用する顧客の生涯価値はオンラインのみの場合に比べてずっと高くなります。しかしこれは現実の小さな事例で比較的短期間であるため、統計的に何かを指し示したり意味があるとは言えないと私は警告しています。」

「お店というものは、商品や靴などを顧客が試着できて彼女たちの自宅へ届けるという伝統的な部分とショールームのハイブリッドだと思います。そのコンセプトによってモドクロスは伝統的な小売販売と比べて0.09平方メートル当たりにより多くの製品を仕入れることができ、同僚は顧客と1対1で時を過ごすことができるのです。」とカネス氏は言う。

モドクロスの顧客は店内で自分のスマホやタブレットを使って支払いができるにも関わらず、購入は一般的にキオスク端末が利用される。

カネス氏によるとモドクロスが得る全てのデータは、小売店が将来の買い物客の興味を正確に捉えることができるように、パーソナライズ機能(プログラム・エンジン)に集約されていると言う。例えば、体型やサイズが似ている女性が既に好意的なレビューを付けているアイテムをアプリ内で表示するために、モドクロスは顧客の採寸データを利用している。

「ストアで必要なことは、各顧客に応じたパーソナライズです。」とカネス氏は言う。

モドクロスもまた、製品の好みには地理上の微妙な違いがあることを理解している。

「オースティンではオンラインで提供しているものに比べて、仕事用の服と同じくらいに私たちの独特の美学に大きな需要があると気が付きました。」とカネス氏は言う。「また、美学についてポップアップストアで学んだことは、ワシントンはより伝統的で、女性客が多く少しフォーマルでした。」

非アクティブなデータを通り越し、モドクロスは IRL ポップアップストアにおいて個人的な交流のみがもたらす突然の閃きをも体験している。カネス氏は、顧客が自分のサイズについて従業員に謝罪をしたというロスのポップアップストアで起きた出来事を詳しく話した。

「その女性客に付き添っていた私たちのチームの従業員女性は、あなたはそのままで美しく、そういうふうに感じてもらうことが私たちの仕事なのだから謝る必要はないと伝えました。」とカネス氏は言う。「するとその女性客は、ファッション会社で味わったことがないと泣き始めました。彼女はブランドと親しい関係を築けると思ったことがなかったのです。」

「それは私が “これこそがオフライン戦略を持つべき理由だ” と言った瞬間でした。私たちのミッションを発展させるという理由だけでなく、コミュニティの成長やリーチの拡大、そして良いことをして成功するためにもそのような瞬間を作っていく。」とカネス氏は言う。

もう一つのオフラインの閃きはサンフランシスコで起った。そこではモドクロスが言い方を止めてしまった、いわゆるプラスサイズの女性が、多くのファッション産業に無視されているかのように隅に追いやられてしまっていた。

「モドクロスの事業を大きくしたいという私のビジョンは、サンフランシスコでポップアップストアを展開した時に改めることになりました。ポップアップストアの洋服のサンプルをXXSから4Xまで全てのサイズを利用できるようにしました。」とカネス氏は言う。「女性、特に集団で訪れるお客さまは、みんなで買い物をするだけの取り揃えがあると思っていませんでした。」

「”プラスサイズはどこにあるの?” とか “私のサイズはある?” と多くの女性客が尋ねてきますが、”プラスサイズはありません” そして “全てのサイズの用意があります” と答えた時の彼女たちの表情を見せたかったです。」

しかしそれでもオンラインの小売店はもちろんデータが全てだ。そして各個人に基づいたオフラインのデータを得ることで、顧客が実店舗にいる時でもデジタル的に自分を確認できるようになる。そのために小売店は、サインインやアカウントを作ることが妥当だと感じる何かを買い物客に提供する必要がある。

「小売店が必死になっているのは交換価値です。」とフォレスター・リサーチ社のヴィッチャー氏は述べる。「顧客の自己認識のためにどれだけの価値を与えることができるのか?」

ブルー・ナイルは、顧客がウェブブラウザを使って自宅や Webrooms で自社のオンラインカタログを見ている時に、クッキー技術を使って彼らの買い物同行を学習している。全てのセールスは、顧客が持っている端末や Webrooms に設置されている iPad で個人向けサービスを使ってオンラインで完結する。もし顧客が Webrooms で購入しなくても、後でコンバージョンを追跡できるように個別の割引コードを発行している。

P. 31 ファブレティクス
行動的な女性用のアパレルであるファブレティクスは会員制を採用している。ファブレティクスの会員は、非会員と比較して30〜50%の割引額で商品を購入することが可能だ。

ファブレティクスの会員になると、毎月始めの5日以内に何かを購入するか翌月に持ち越すオプションを使うかという条件に同意することになる。

「顧客を引き付ける唯一の方法として、毎月始めの5日以内にウェブサイトへログインするか直接来店し、何かを購入するか持ち越しを選択してもらうようにしています。」とファブレティクスの上席副社長ダスティン・ネトラル氏は述べる。

テックスタイルファッショングループ社が保有するファブレティクスは、今や21の地域に店舗展開しており、年内もしくは2018年の始めまでに30へと拡大する計画だ。

ファブレティクスが適切なお勧めの商品を提供できるように、新規会員はまずスタイルとサイズのプロフィールを記入する。毎月1日に、会員はそれぞれのために選び抜かれたアイテムが掲載された電子メールを受け取る。その内容は、オンラインや実店舗での顧客個人の行動データに基づいて変わるようになっている。

オンラインの行動から収集する情報は実店舗の購入体験に利用しているし、その逆もまた然りである。

例えば、ある顧客がオンラインで何かの商品をカートに入れたけれども購入しなかったため、取引記録にも残らなかったとしよう。その顧客が実店舗に足を運びアカウントにログインすると、従業員は彼女のカート履歴を参照し同じアイテムの試着を促し購入の機会を伺うのだ。

ファブレティクスの全ての従業員は携帯端末を持ち、サイズが適切であるかどうかといった Fabletics.com にある個々のアイテムに対する顧客のレビューを参照することができる。

またオンライン販売のみの場合と比較して、実店舗のデータを使いより迅速に顧客の動向に対応が可能になった。

「毎月始めに新たに展開した商品が3日経ってもコンバージョンが鈍いと、それは値段やサイズの問題なのかもしれないと分かるのですが、店舗にある全てのデジタル的な情報を集めてここエル・セグンドにいるデザイン、マーチャンダイジング、そしてプランニングのチームにフィードバックしています。」とネトラル氏はカルフォルニア本社を引合いにして述べる。

フィッティングルームに至るまでに起きる全てのことを注意深く調べる。もし会員が購入しないと何故か尋ねる。結果としてファブレティクスはトレンドを掴み適切な対応ができるのだ。

「仮に私たちが顧客に ”このカプリパンツはどうでしょう?” と感じで尋ねたとすれば、 ”少し小さいわ” と返事があることでしょう。」とネトラル氏は続ける。「もし私たちがトレンドを十分に知っていないと、その商品をリサイズしタグを付け直すことでまとまった商品を出荷できなくなり、顧客を失望させ、結果として返品となって終わるでしょう。」

一つ確かなことは、以前オンラインだけだった小売業者は製品ではなく、データ駆動型の個別体験によって違いを付けているということだ。

「製品は重要ではありません。」とヴィッチャー氏は述べる。「競争の優位は体験にあります。それこそが実店舗体験を改善するべき理由なのです。」

情報源: Omnichannel Retail | Catchpoint & Internet Retailer

一時期 iPhone などに接続してクレジットカード決済が可能になる端末をコンビニで販売していた米国発のサービスがありましたが、店舗からポスレジを無くしてしまって直接オンラインショップの決済を利用してもらうという仕組みは在庫管理を一元化し、飲食店でも一次的な出店でも、いろんな決済に応用ができ衝撃がありました。このレポートは、途中自社ソフトウェアの広告をいくつか挟んでいますが、そこから得られた統計について書かれた全68ページのとても読み応えのあるものでした。既に2018年版が出ているようなので、興味がある方はダウンロード(要登録)して一読してみてください。

最後に、不慣れな会話の慣用句の訳として面白かったものを二つ紹介。

http://hkitago.tumblr.com/post/171609862006

http://hkitago.tumblr.com/post/171609874261

日頃の技術書や RSS でニュースを見ている時の大意を掴みながら英文を読み進める場合と比較して、日本語でそれぞれの文が意味を成すように翻訳する技術は異なるものがあり、まとまった文章を翻訳するという作業の必要性を再認識しました。

起業すべき14の理由

注意: この記事は2010年11月に下書きにしたまま放置していたのを公開しています。

映画Facebookの影響もあって”起業家の辛辣な11の現実”というOnStartups.comの記事があったので見出しだけ意訳。

  1. 最初のアイディアが間違っている
  2. 友人や家族の理解が得られない
  3. しばらく稼ぎが少ない
  4. 時間が掛かる…もし失敗するにしろ
  5. 肩書きなんて意味がない、ただの雑務係だ
  6. 特効薬はない
  7. 顧客が不満を募らせるだろう
  8. 一人じゃ何もできない
  9. 一夜の成功なんてものはない
  10. 組織をまとめるのは困難
  11. 制御不可能な外部の圧力がある

The 11 Harsh Realities Of Being An Entrepreneur.

それに反応した投稿”起業すべき14の理由”というのもあった。ジョブズの卒業スピーチをあしらう全地球カタログの挿絵も懐かしい。

  1. あなたは自分の人生の時間を持ってる
  2. あなたは無から何かを作る力を持っている
  3. 世界中の知恵を借りる事ができる
  4. クラウドとウェブアプリが始める敷居を低くしている
  5. 最初の場所は重要じゃない
  6. 一晩で注目を集める事ができる
  7. 以前より多くの顧客への経路がある
  8. 素早い起業から生活ができる

14 Reasons Why You Need To Start A Startup.

テスト駆動型ウェブデザイン

ソフトウェアの開発様式に「〜駆動型開発」というのがある。現状では「テスト駆動型」が主流なんだけど、そこから派生して「ビヘイビア駆動型」というものもあるらしい。テストを仕様(振る舞い)にするっていうのは道理だなあと思う。

キャッチーなカタカナで付けた表題の件は、ウェブのフロント側を視覚設計する場合はまずエラーページから作ることを定石にすべきで、404とかのエラー番号と対応する内容を、多言語対応を考慮すると当然だけど、連想配列にするなり、CSVにするなりして(Ajaxでどうぞ、との事です。参照参考)用意しておくと更に良いということ。

経験としては SWF のプラグイン処理でよくこの問題に出会った。最後に気が付いた時には予算外の作業となってしまう場合もあるし、終わりに近づいた頃に創造的に遊べる部分の作業余力はなくなっていることが多い。利用者視点からもストレスとなるエラー体験がブランディング評価の維持に繋がることは明白だ。

原理としては、テストの結果が偽(false)である頁を設計するという概念に沿っている。もちろん、真(true)の場合とは従来作業順位であるホーム(専ら近年のウェブアプリの流行として「ダッシュボード」という概念がある)の設計となるが、先にエラーページを試作から作っておくとこの時点でヘッダやフッタといった基礎はできているのでこれも実にその通り目次を作るだけ、となる。

ゆくゆくの表示側の処理は JavaScript が出力するタグを読む、ウィジェットが並ぶようなサイト設計になることは必然のような気もするので、その辺りを考慮しておくと静的に作ったものをライブラリとして流用するのも楽になる手法の一つだと思う。

最後に余談で、

みなさんは罪悪感駆動開発(zaiakukan-driven development; ZDD)という言葉をご存知だろうか。私はつい先ほどまでこの概念を知らなかった。なぜなら先ほど自分で思いついたばかりだからだ。

引用元: 小野和俊のブログ:罪悪感駆動開発(zaiakukan-driven development; ZDD).

元ネタなのかもしれないけど、この投稿の数日前に Guilt Driven Development; GDDを提唱している人もいた。個人的にはこの開発型が大好きで、iPhone アプリ開発の時も然り、あるソフトウェア開発の前にハードウェアを新調するように、時間割を決めて平坦な計画も良いんだけど、集中できる濃密した時間や環境を作り自分を追い込みながら作業するやり方が合っている。加齢と共に変化するんだろうけどね。

参照:

デジタル時代の起業

前の投稿に引き続き起業ネタ。先日高校時代クラスタの異業種交流会があって商社勤務でデジタル起業に関した仕事をしている彼の FB で教えてもらった記事から。

先ほどお話しした発明のところに付随して、「実装したものを持って来い」と言われてしまうというか…、プロトタイプを持っていかないと投資出来ないのが大企業の実情です。

穐田誉輝氏×アレン・マイナー氏×仮屋薗聡一氏「日本から強いベンチャー企業は生まれるか」~G1サミット2011レポート~ | GLOBIS.JP.

どうやら司会をしている方がスタンフォード留学中の彼と面識があるようで記事自体はなかなか興味深く、「Google のイノベーションはそうじゃないよ!」の部分は胸熱で、引用したところで「動かないもの持っていく人いるのか!」ってツッコミはさておき、実はそれ以前にシリコンバレーではプロトタイプすら作らないそうです。

既に軌道に乗ってしまった企業との比較なのは問題もありますが、オンラインサービスやシステム開発と維持管理での起業は、ラーメン代を稼ぐ事で軌道に乗れてしまうという制作コストが(他業種と比べて)圧倒的に低い利点があります。
YouTube – ロバート・キヨサキが奨めるネットワークビジネスの6分辺りから。

「アイディアを即カタチにできればあとはやるだけ」とは簡単のようで、中には「ゼロをイチにするのがクリエータで…」とかビジネススクールの講師みたいな念仏を唱える人もいるのですが、先のリンクにも書かれているように他人のアイディアや功績(職業的にはライブラリとも呼べるだろうか)をどう組み合わせるかというところでは幼少の頃からやっている事が変わらないなあ、と子供を見て思うのでした。

そこが、「オリジナル主張」って?とかリブログ批判のような疑問に繫がるところでもあるという話はまた別の機会に。

少ない資金で開業する46箇条

Delicious の人気順に挙がっていた「少ない資金で開業する46箇条」というのがあったので意訳しました。

Start With The Easy Stuff: Eliminate Expenses
予算をかけずに簡単に始める

1. Don’t rent an office! – work from home. Or better yet work from the best free office with locations everywhere: Starbucks. If you need to meet with a client and are worried about seeming small time without an office, don’t be. Just meet them at a restaurant for a lunch meeting. This is what people with the nicest offices do anyway.
オフィスを借りるな!家から、もしくはスターバックスのような無料で使える空間があれば良いかもしれない。もし顧客と会う必要がある場合はレストランでランチミーティングをしよう。

2. Don’t hire any employees! – do it all yourself until you have some $ coming in the door.
従業員を雇わないで!収益があるまで一人でやろう。

3. Don’t hire lawyers, technical people, graphic designers, or assistants (see below)
Legal Stuff and Incorporating
弁護士や技術者、グラフィックデザイナやアシスタント、法務スタッフや協力者を雇わないように。

4. Get a free lawyer and legal advice from the mentors at Score.org
Score.orgのようなサイトで無料の弁護士や法的なアドバイスを貰おう。

5. Find a website with a similar legal document and modify it to your needs
似たような法的文書のあるウェブサイトを見つけて手直しして使おう。

6. An LLC is probably the best business structure, but don’t worry about incorporating until you’re earning money, just do a sole proprietorship, you can always incorporate later (you can get it setup with the IRS in just a few minutes by calling them at 800-829-4933)
LLCがビジネス形態として望ましいが、後からいつでも取れるので、利益を得るまでは個人事業のようして法人格について気にしない。

7. Learn how to do your own financial statements for your business in Excel instead of hiring a CPA or bookkeeper (again you can do this after you’re making money)
会計士や簿記の資格を持つような人に任せずにエクセルを使って自身のビジネスの財務諸表をどうするか学ぼう。

8. Take a Quickbooks class at your local community college
Make a website for your business
地域のコミュニティカレッジ(短期大学)で会計の講義を専攻したりビジネスのウェブサイトを持とう。

9. Don’t pay a premium for a top end domain name, there are plenty of good ones left
ドメイン名に資金を費やさないで。良いのは何か残ってる。

10. Test out your ideas by writing to a blog, you’ll get feedback on what people like and don’t like
アイディアをブログに書いて試そう。人の好みが分かるフィードバックをもらうんだ。

11. Get a free business website at www.wordpress.com or tumblr.com. It won’t be your own domain (it will be something like yourbusiness.wordpress.com) but…
www.wordpress.comtumblr.com のような無料のビジネスウェブサイトを持とう。

12. When you’re ready to have your own domain, register it at domain.com and add this as a custom domain to your WordPress or Tumblr site.
自前のドメインの予定があれば domain.com で取得して WordPress や Tumblr に割り当てよう。

13. Get a professional website design for free with a wordpress theme that you can install with a few clicks (no programming knowledge needed)
数クリックでインストールができる WordPress や Tumblr のプロフェッショナルに魅せるテーマを慎重に選ぼう。

Getting a Logo
ロゴを作ろう

14. Don’t hire a fancy graphic designer. At least not yet. Use LogoYes to create your own logo (or at least get ideas that you can recreate on your own for free)
少なくとも未だならデザイナは雇わず LogoYes を使ってみよう。

Accepting Credit Cards
クレジットカード決済

15. Don’t bother with a full merchant account to start off with, they are complicated, come with monthly feeds, and require programming expertise. Instead try a simpler (and much cheaper) solution like Google Checkout or Paypal
グーグルチェックアウトかペイパルを使おう。

16. For a more professional look and a complete shopping cart for only $5/month use E-Junkie, its great and I use it on this site
サイトに決済機能が必要なら月額 $5 で使えるE-Junkie を使ってみよう。

17. If you have lots of physical products, try a Yahoo Store
Starting a service business where you consult, coach, teach, etc
もし大量の物流があるなら Yahoo Store Starting サービスを試してみよう。

18. Create several pages on your wordpress site: one for your experience, testimonials, rates, availability, etc
WordPress にいくつかの、経験や受賞歴、料金、能力についてのページを作ろう。

19. Pick a domain name with your #1 keyword in it! (Assuming it isn’t a very competitive keyword you’ll rank on the first page of google within a month or two for that keyword which means customers!) here’s some more info and an example
Creating Info Products
重要なキーワードを含むドメインを取ろう。

20. Use an ebook template like these from Eben Pagan
イブン ペイガンのような電子書籍テンプレートを使おう。

21. For print books, self publish it at www.lulu.com and use print on demand (they don’t print a single book until someone buys it which means you have zero up front cost for inventory!)
www.lulu.com で実際の本を自費出版したり、印刷のオンデマンドサービスを使おう。

22. Use a $20 webcam or digital camera to create educational video products
教育映像を作るためにウェブカムやデジタルカメラを20ドルで買おう。

23. Use camtasia ( $200 for PC) or iShowU ($20 for Mac) to record your screen and make great videos like this one. Or record powerpoints and do the voiceover to make great educational products. Update: even cheaper use ScreenToaster.
すごい教育商材を作るのに ScreenToaster が手っ取り早い。

24. Use a mac to edit your videos (iMovie is free) and you can even produce DVD’s
Before investing in a retail location…
映像の編集はMacのiMovieがいい。

25. Go to a local fair or festival and rent a booth to see if anyone buys your product. Talk to potential customers and get feedback.
地元のフェアーやフェスティバルに行って出店ブースを借りてみよう。潜在顧客と話し、フィードバックをもらおう。

26. Try selling it on ebay
Always be learning about business
オークションサイトの eBay でも売ってみよう。

27. Go to a meetup.com groups in your city related to business/entrepreneurship
meetup.com のサービスでビジネスや起業に関連するグループに参加しよう。

28. Read all the best business books by getting them from the library
ビジネス本を読もう。

29. Get 3 of the top 10 books on building wealth for free in PDF
富を築き方が書かれたトップセラー10冊中、無料のPDFで配布されている電子書籍を三冊手に入れよう。

30. Make friends with other entrepreneurs and share material
起業家仲間を見つけて情報交換しよう。

31. Install the stumble upon toolbar and choose business/entrepreneurship as one of your interests to find all the best videos and talks out there (this is literally like going to a free semester of business school, you get to see all the best speakers and thinkers of our time, and those of the past)
Stumble をツールバーにインストールしてビジネスや起業の映像や講演を見つけよう。

32. Read blogs like this one in google reader
Marketing, free website traffic, and getting your first customer
Google リーダーでマーケティングや無料で使えるアクセス解析のブログを読んで、最初の顧客を見つけよう。

33. Get 250 full-color business cards for free to hand out to people you meet
会った人に渡す名刺をフルカラーで作ろう。

34. Post an offer on craigslist
Craigslistに広告してみよう。

35. Post videos on youtube with links to your website
Youtubeに動画を投稿してみよう。ウェブサイトをへのリンクも忘れずに。

36. Post the same video to all video sharing sites (Google Video, Yahoo Video, MySpace, Revver, etc) at once with TubeMogul (this is some of the best free marketing you can do)
TubeMogul を使って一度にまとめて動画共有サイトにアップロードしよう。

37. Generate leads by offering an incentive on your website for people to give you their contact info (some incentives that work well: Top 10 reports like the top 10 myths about…the top 10 thing you should know before…etc, videos, audio interviews, one page cheat sheets, free ebooks)
顧客に向けたメッセージや決意をウェブサイトに書こう。

38. Write a good article and send it to more popular websites (include your byline at the bottom). This is also known as doing guest posts and is the #1 thing I used to grow this blog when it first started out.
良質な記事を書いて末尾に署名を入れたら人気サイトに送ろう。これは寄稿と言われる手法で知られている。

39. Learn how to use google adwords and spend $10 and see if it brings in at least $10 (if so keep going!)
Google アドワーズで10ドル使ってみてその価値があるか確かめる。

40. If you can’t afford to get links from expensive directories like Yahoo ($299) use Directory Submitter to get links from hundreds of smaller directories for free
高価なディレクトリサービスをやめて無料のサービスを使おう。

41. Pick a good domain name with your keywords in the domain (use hyphens if necessary). This will help you rank in Google for that keyword and get visitors to your website.
良いドメイン名を取得して SEO 対策を。

42. Do some basic on page SEO
あらゆるページに SEO 施策を。

43. Research what keywords will bring you the most traffic (and are least competitive) with keyword discovery, Wordtracker’s Free Service, and (probably the best option) WordTrackers free trial of their full service (just have to remember to cancel within 7 days to not get charged!)
アクセス解析を使ってトラフィックで人気のキーワードを調べよう。

44. See which keywords are likely to bring buyers (instead of tire kickers)
どのキーワードが購入者に好まれているか調べよう。

45. Get more incoming links to your site by creating a Squidoo page (these rank very high in the search engines for some reason!)
Squidooでページを作ってサイトの元リンク数を増やそう。

46. Send an email to everyone in your email program’s contact list with a short friendly note letting them know you are starting a business and ask if they could forward it to just one or two people who might be interested. Offer something free for the first 10 people. This has an exponential effect because it not only reaches who you know, but everyone who knows who you know (an order of magnitude bigger group of people.)
アドレス帳の一括送信機能で開業したことを知らせよう。

引用:46 Ways To Start A Business With No Money

最後は SEO 連発でネタかと思いましたが、対応の力の入れ具合が分かるのでサイト運営者は少なからずやっている事かと思います。具体的なサイトやツール名は自身の環境に応じて適宜置換してください。

縄張りと柔軟性

世間的な災害の報道も加熱を過ぎた様なところで、組織論についての考察。

育児のためにラブホテルが立ち並ぶ渋谷から少し郊外に引っ越して、代理店からの受託開発が減ってきた(この点にも大いに問題はあるのだけど…)頃にフリーランスとしての現状というか、生業を継続するために選んだ道の一つが iPhone アプリ開発だったのだけど、その時に読んだ「Eric Sink on the Business of Software 革新的ソフトウェア企業の作り方」には「小さな会社」と「大きな会社」では働く概念の差異があると述べられている。

  • 小さな会社では、ほどんどの人が複数の役割を担う。(中略)ここで鍵になる考え方は柔軟性だ。
  • 大会社ではもっとスペシャリストが多い。(中略)ここで鍵となる考え方は縄張りの遵守だ。

この2つは非常に異なった文化であり、それが交わるときには酷いことが起きやすい。

引用元: Eric Sink on the Business of Software 革新的ソフトウェア企業の作り方

組織という点で考えるとこれは会社に限ったことではない。大家族であれば、父親は仕事だけ、母親は家事や育児だけという専門性を持って生活することができるだろうが、近年の核家族において同じような概念や規則で動いていると、どこかでストレスや不満が溜まりどちらか、あるいは両者が破綻することが容易に想像できる。

という訳で、自分の職種にも「デザイナ」や「プログラマ」と書かずに「開発者」を名乗っている理由がそこにある。その昔に Bill Joy が提唱していた “The small system methodology” も然り、近年のベンチャーキャピタリストが言うことも然り、過去のレトリックに惑わされることなく自分の置かれている状況と対応についての区別は明確にしておきたいものだ。

あなたは真の起業家か?

フリーランスというか、己や家庭を経営するというような見方でも参考になりそうなことだったので、ReadWrite が “Startup 101” と題して連載している記事 “Are You Really an Entrepreneur?” を抜粋し意訳。

  1. 常に機会(=あらゆる痛点)を探している。
  2. 長い時間、長い日数、無期限の仕事ができる。
  3. 健康である。
  4. 独自のサービスや製品がある。
    お菓子屋さんにいる子供ジレンマに陥らない。
  5. 長い成功のために短い犠牲を払う。
  6. 正直で誠実である。
    類は友を呼ぶ。
  7. 集中できるものを持ちながらもトレンドを追っている。
  8. 自信がある。
  9. 規律正しい。
  10. 「分かんないけど、すぐに分かるよ」と言える。

10番目がよく分からなかったのでじっくり読んでみると、

Entrepreneurs have to be generalists. They may know one thing very, very well. But they also have to know enough about almost everything else to occasionally do those things themselves, and have the judgment to eventually hire the right people to do those things.

引用元: Are You Really an Entrepreneur?.

起業家は多方面の知識を持つゼネラリストだ。一つのことに特化した知識を持っても良い。しかしやらなきゃいけない全ての事について、時には自身でやるのに十分な知識を持つ必要があるし、最終的には適切な人材を雇う判断力が必要とされる。

ReadWrite は過去に参照した記事 “ソフトウェア開発の今後” でも紹介した様にズバッと核心を突いてくるのでとても面白い。

何故日本でiPhoneの販売数が伸びないのか

先日参加した「スマートフォン市場における iPhone & Android の今後のビジネス展開」というセミナーでは、国内の市場の方向性を決定する存在でもある、ケータイのソフトウェアベンダーがどのような価値観を持っているのかについて伺い知る事ができて参考になった。特に質疑応答の中で「何故日本でiPhoneの販売数が伸びないのか」という回答が、発表者の個人的主観であると前提はあるものの、以前から繰り返されていることではあるが、直接聞く話として確認ができたことは有意義だったと思う。その部分を iPhone のボイスメモから切り出したので興味がある方は聞いて頂きたい。(録音と流用の禁止は通知されていなかったのだが、もし問題がある場合はご連絡願いたい。)

大筋では Phil Shiller 来日報告に関する 2ch まとめブログで分かるような内容ではあるが、細かい所で2つ思うことがある。それは、凡そ一年間世界中からフィードバックを頂いた経験から把握はしていたが、iPhone 利用者はウィンドウズ OS の利用者が多いという調査結果があるということと、関連した戦略として Apple は iPhone の販売を Mac OS へのスイッチキャンペーンの一環として利用しているのだろうということだ。事実その効果は、最近の決算報告を見るとうまくいっていることが分かる。

C2Cのウェブを絡めるサービス/アプリケーションの開発者としては国内ケータイや iPhone の善し悪し、あるいは非接触通信などの技術はどこの国が開発したかというような問題を捉えるのは二の次で、人の問題を解決したり目的までの手間を軽減するために、利便性や柔軟性の高い開発と実行環境が揃っていればこちらで対応するので何でも良く、もっとハッキリ言えば国内の iPhone 販売数自体興味が薄い、というのが本音だ。ただ先にも述べた様に今回聞いた内容は、携帯端末の国内市場がどちらの方向にどのくらいの速度で転がって行くのかを予想する上で役に立ったと思う。

移植を視野に入れたウェブアプリ開発

「移植性を無視して最新のハード向けにばりばりのネーティブコードを書きたかったらiPhone向けのアプリをObjective Cで作り、さまざまなデバイスへの移植性が重要ならHTML5+Javascriptでインタラクティブなアプリを作ってiPhone上のSafariでテストしておく」というのが現時点でのスマートフォン向けの開発投資の仕方としては、最も賢い選択肢だと考えている私である。

引用元: Life is beautiful: GoogleのAndroid向けのアプリビジネスはなぜ魅力的ではないか?.

選択肢にした経験から気をつける点が2つ思い当たる。1つ目は iPhone で Canvas が使い物にならないと感じたことだ。具体的には読み込みに時間を必要とし利用者の精神的負荷となる可能性がある。ポジションカードアプリで描いているボードの絵柄は当初 Safari 3 上の Canvas で検証し問題が無いことを確認していたが、実テストに於いて第二世代 iPod touch で且つ OS が v2 だったことを考慮しても、起動に7秒前後を要した。ゲームのようにローディングで対応するということも思いついたが、ユーティリティの部類では難しいと判断した。

2つ目はスコアボードアプリの開発に於いて実践し学んだことで、こちらは manifest ファイルを記述したウェブアプリ版を先行して公開していたのだが、それら2つの機能差に明確な優位性が無かったことから販売台数は伸び悩んでいる。結果として無計画になってしまった理由は Apple の開発者向け戦略が勇み足だったというか、iPhone SDK 公開の流れでお分かり頂けると思う。

さらに、この方法を後発のポジションカードアプリ開発に適用しなかったのはこのような外的要因に加え、上述したような場合に、水平モードに固定できず Safari のツールバーが邪魔をして描画領域を確定できなかったことが挙げられる。これらの問題がクリアできれば車輪を再開発することなく移植はもちろん、ウェブアプリとして無料版に仕立てることも可能だと思う。

実際に手を動かす視点では ActionScript を使えれば OpenGL も楽しいだろうと思う反面、ビジネス的にはクラウドネットワークについて考えてしまうので SQLite を直接扱える JavaScript を選択し iPhone 市場に参入した次第だが、そんな技術話よりも米国の顧客からはブラックベリーや Facebook といった別プラットフォームへの移植の需要があるのは確かだ。しかし開発環境が無いからと断っているのは、競合が皆無でロングテール(素麺代稼ぎ)を楽しんでいるという反省すべき点がある。;-)

最後にウェブ開発者という視点で見ると、重い Parallels を使った貧そな UI を持つ IE の動作確認から逃れ、ミドルウェアを使わずにデータを入出力できる新しい技術を試す興奮や楽しさを得られたと思う。日本の自称ウェブ業界スーツ民達に技術の理解が浸透し、仕事として回り出すのはいつのことになるのだろうと思ったが、広報の方法が変化するように、案件が降りてくるのを待つよりも昨年の不況が転換期のような気もするので、日々精進あるのみと再度自省する。

P.S. Interview with Neil Mix of Pandora – iPhone Audio Streaming, Memory Management, and More も JavaScript を iPhone に利用する面白い例だと思うので参考迄。

SNS の東西比

ソーシャルネットワークと言えば日本でミクシィが代表的だが、サービスが始まった当初に仕事の関係する方から感想を求められたことがあって「国として難民を受けれて、天候を問わず学校のグラウンドで寝泊まりさせているようなものです。」と答えたことがあるのだが、未だにその反論が見つからない。(使っていないのだけども)

Facebook や Twitter を使いながら日本のサービスの現状を知ると、それがどうも Apple の iLife から連想される写真や動画と言ったメディアファイル(媒体)を扱いつつ、自然言語を使い現実に則して意思疎通をしようとする価値観に対して、任天堂に代表されるような、所謂ゲームやアニメという空想や夢の世界を共有するという価値観の違いに気が付く。

一方、興味深いのはミクシィの状況だ。

一方で最近、同じSNSというくくりで、モバゲータウンやGREEと比較されることが多いのですが、ちょっと違和感があります。あちらはゲームを強調されているように思うのです。先方も違和感があるかもしれませんね。

引用元: 3000万人市場を公開へ、一大ビジネスチャンスです:ITpro.

彼らはゲーム分野というレッド・オーシャン戦略(参照:革新的ソフトウェア企業の作り方)を避けた以上、上述したような価値観やその違いを区別して、Facebook や Twitter のような利便性を追求しない限り国内だけで汎用性ある道具の利用者を増やす事は不可能だろうと思う。逆にある種の OS を開発しているような状況だろうから、日本独自の意思疎通方法を模索していると言っても過言ではないと思うし、時代精神と民族精神は共存が必要なように、同じ意味の価値がそこにはあると思う。

しかし命令系統に弱い言語体系を活かすには、漫画や浮世絵、水墨等の画になるか、文字を使うとしても短歌や俳句のような抽象比喩表現を多様した伝達方法になると思うが、既にどの道も2chやニコ動、はてな俳句、pixiv(ピクシブ) などが先を行っているだろうし、足跡という新しい制度の受け入れに難がありそう(足跡が足枷に!)なので、違う方法を模索するしかない。

最後にこの東西比は平たく言ってしまうと「機能や要素を段階的に追加する」で述べたような違いの原因にも通ずるものがあると感じた。